
エスプレッソって同じ透過法のドリップと比べて抽出時間が早いです。ドリップが普通の鈍行だとしたらエスプレッソは新幹線です。
何もスピードが早いだけが違いじゃないんです。
その理屈を知っておかないと、エスプレッソを手に負えなくなっちゃうかもしれませんよ。
エスプレッソの抽出速度の話をする前に、淹れ方から知りたいという方は先に「エスプレッソの抽出の基本手順」を見ておいてくださいね!
それではまず、動画を見てもらうとわかりやすいと思うのでこちらをどうぞ!
透過法であるエスプレッソとドリップの違い
同じ透過法でもドリップと比べてエスプレッソは違う部分が大きく2つあります。
- 通過していくお湯が9気圧
- 一投一気出し
9気圧というのは通常のお湯にエネルギーが加わってると思ってください。その力があることよって、たった30秒程度の時間でコーヒーのエキスが一気に抽出されるんですね。
これが通常の圧のままだとドリップでお湯を注いでることと同じなるので意味がありません。
そしてもう一つ、基本的にエスプレッソというのはボタンを押して抽出が始まったら、抽出が終わるまでお湯が一気にで続けます。
つまりドリップで言う所の、お湯を何回かに分けて注ぐんじゃなく、一投で落としきるという打法なんですね(まさに俊足イチロー)。
失礼しました。
つまり以上を踏まえると、エスプレッソの抽出速度というのは注ぎ方によってはコントロールできるものではないってことなんですね。
(ちなみに、ドリップだったら淹れる側のさじ加減で、どういう落ち方をしてほしいかを、ある程度コントロールしていくことができます。)
※ただ、最近では蒸らし(プレインフュージョン)という機能や、抽出中に変圧できる高性能なマシンもあるので、そうなってくるとさらに変数が増えてエスプレッソの幅が広がって行きます。
さて、そういったエスプレッソ特有のルールを踏まえた上で、じゃあどうやってエスプレッソの抽出時間というのを捉えていくかということが今日の話です。
ポイントは2変数の組み合わせ
エスプレッソは注ぐ加減でコントロールできないのは既に述べた通りですが、
まず、抽出速度にも味わいにも最も影響を及ぼす2変数があるので、これを押さえておきましょう。
日常のエスプレッソ調整でのルーティンでも非常に使う2変数です。
それは「粉量」と「メッシュ」です。
この組み合わせを決めることが、エスプレッソの抽出速度、ましてや味わいに大きく関係してきます。
この抽出速度を日々の中で見ながら、エスプレッソ抽出が安定してるかのバロメータにしていくんですね。
この2変数が抽出速度に及ぼす原理はとてもシンプルです。
「お湯が通過するのにどれぐらい障害があるか?」ということです。
そうなんです、お湯にとってはコーヒーの粉というのは障害物みたいなものです。
それをイメージしながら、それぞれ見て行きましょう!
「粉量」のケース
粉量が多くなるとお湯にとっては障害物が多くなるということなので、それにつられてお湯が通過する時間は遅く(抽出スピードは遅く)なります。つまり
- 粉量が多いと抽出速度が遅い
- 粉量が少ないと抽出速度が速い
ということです。
「メッシュ」のケース
メッシュが細かくなると、ポルタフィルターの中の粉の密度が高くなります。言ってしまえば、障害物の網の目がより細かくなり、障害が多くなります。
小石と粘土だったら、どっちの方が水が通過しやすいですか?
小石ですね!つまり
- メッシュが細かいと抽出速度が遅い
- メッシュが粗いと抽出速度が速い
ということです。
他にも抽出速度に影響を与える変数がある
「粉量」と「メッシュ」の組み合わせは非常に大事ですが、この他にも
- コーヒー豆の状態(焙煎度合い・エイジング・生豆・湿度など)
- お湯の温度
例えば、同じ豆でも、浅煎りと深煎りだと、抽出速度が全然違います。それは障害物の体積の違いです。
浅煎りと深煎りはそもそも密度が違うんですね。浅煎りの方が密度が重いので、同じ20gを用意しても体積は圧倒的に深煎りの方が多くなってしまうんです。
なので、同じ豆の浅煎りと深煎りだと、深煎りの方が体積が多いので(障害物が多い)ので、抽出速度が遅くなってしまうということなんです。
それらのことも踏まえて、それぞれ抽出速度にどのような原理があるのかを把握しておくと、エスプレッソの抽出をより安定させることができます。
抽出速度ばかりに気を取られるな
最後に、抽出速度のことを今回はフォーカスしましたが、あくまで抽出速度はバロメータみたいなものなので、あまりそこに固執し過ぎないように気をつけてください。
最終的には、エスプレッソのカップの味が大事なので、それを毎回安定して再現できるように、抽出速度を参考にしていく程度で大丈夫です。
また、抽出速度が遅くなり過ぎると、圧が逃げてしまい、粉に対して9気圧かからなくなることもあるので、あまり長くなり過ぎないようにしましょう!
慣れてきたら、エスプレッソが落ち始めたスピードを見るだけで、それがうまくいったかどうかを判断できるようになります!
頑張って!
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